GPSアート(ランニングアート)コースの作り方 完全ガイド
GPSアート(ランニングアート、お絵かきラン、ストラバアートとも呼ばれます)は、ランやライドの軌跡をペンの線に見立てて、街の道路網の上に絵を描くことです。このページでは全体の流れと、「道路に沿わせたら元の絵に見えなくなった」ときに何を調整すればいいかを説明します。
GPSアートとは
走った軌跡はウォッチに一本の線として記録されます。どの道を通るかを先に決めておけば、その線がハートや猫や恐竜、数字といった見て分かる形になります。
難しいのは、絵は自由な曲線なのに道路はそうではない点です。実際の道路網は格子状で、しかも抜けがあります。「地図の上に絵を描くこと」と「その形が実際に走れること」は別物で、その間を埋めるのが道路に沿わせる工程です。
4 つのステップ
- 図案を選ぶ。 内蔵の一筆書き(ハート、星、猫、クリスマスツリー、ティラノサウルス、ダックスフント、鳥、魚)、画像のアップロードによる自動トレース、手描きパッド、地図の上に直接一筆描く、手持ちの GPX ログを読み込む、という方法があります。
- 位置を合わせる。 地図をドラッグして走りたい地域に図案を置くか、地名検索で移動します。図案は回転と左右反転ができます。輪郭の向きを道路の走る向きに合わせるのが、実は一番効きます。
- 道路に合わせる。 ボタンを押すと実際の道路に沿ってコースを計算し直し、実走距離が目標に近づくまで自動で拡大縮小を繰り返します。
- GPX を書き出す。 ファイルをダウンロードしてウォッチやトレーニングアプリに取り込み、ナビに従って走ります。
すべてブラウザ内で完結し、インストールは不要です。最初の 3 ステップはログイン不要。GPX の書き出し、コースの保存、シェア画像の作成にはアカウントが必要です。
距離とモードの選び方
直感に反しますが、制御点は多いほど良いわけではありません。増やしすぎるとルーターが「全部の点を通ろう」として遠回りを始め、かえって距離が伸びて往復も増えます。細部が本当に大事でなければ、パーフェクト版が無難です。
- シンプル版(制御点 18)——大きな道を使い、曲がりが最も少なく、走りやすい。ただし形はおおまかなシルエットだけ残ります。
- パーフェクト版(制御点 26)——既定値。似ている度と走りやすさのバランスが取れる点です。
- 細密版(制御点 60)——形に最も忠実。代わりに曲がりが増え、往復が出ることもあり、距離も目標を大きく超えがちです。
元の絵に見えないときは
ほとんどの場合、図案の細かさが街区より細かいことが原因です。市街地の街区はおよそ 100〜200 m(台中の中心部で実測約 150 m、郊外では 400 m を超えることも)。図案が 60 m 間隔の角を要求していて、そこにそれだけ細かい路地がなければ、道路網にはその曲がりを描けません。
そのため、道路に合わせる前に実現可能性のチェックが入ります。図案の角の数と間隔を数え、その場所の実際の道路密度と突き合わせます。描けない場合はダイアログが出て、ワンクリックで適用できる推奨設定が提示されます。
実際に効く調整は次の 4 つです。
- 距離を伸ばす。 図案を 2 倍にすれば細部の間隔も 2 倍になります。断然これが一番効きます。
- 図案を単純にする。 アップロード画像は「ディテール」スライダーで頂点を減らせます。線が少ないほどうまくいきます。
- 方眼化を使う。 曲線を格子に沿った階段状に置き換えます。碁盤の目の街(台湾の多くの市街地、京都、マンハッタン)で非常に有効です。
- 図案を回す。 輪郭の主な向きを道路の向きに合わせる方法。細部を一切犠牲にしません。
路地を選ぶ・坂の話
「路地を選ぶ」は既定でオンです。制御点を住宅街の道や歩道、生活道路の上に寄せてから経路を計算します。同時に、橋・トンネル・高架として記録された区間も除外します。高架の自動車専用道は地図データ上まさにそう見えるので、標高データがなくても判別できます。
この方法しかない理由:公開のルーティングサービスは「この種類の道を避けて」という指示を受け付けません。ただし制御点は必ず最寄りの道路に吸着します。つまり制御点を路地に置けば、コースは路地を通ります。結果は「大通り %」——コースのうちどれだけが大通り沿いかとして表示されます。
坂はまた別の問題で、地図のタグでは表現できません。コースができた後に沿線の標高を 90 m メッシュの数値標高モデル(Copernicus)から取得し、累積標高と最大勾配を出します。8% を超える急勾配があると警告が出ます。どちらもコース確定後の後付けで、コース自体は変わりません。
自分の画像を使う
アップロードした画像はシルエットか線画かを自動判別します。シルエットは外側の輪郭、線画は線の中心線を取ります。こうしないと一本の線が細長い往復のループとしてトレースされてしまいます。
写真は自動的に検出され、ブラウザ内の AI で背景を除去してから主体をトレースします。モデルは写真を初めてアップロードしたときにダウンロードされ、写真そのものは端末の外に出ません。
向いているもの:輪郭がはっきりしていて線が少なく、一筆で描けるもの。向いていないもの:情報量の多い写真、複数の筆画が必要な文字(たいていの文字がそうです)、部品が分かれた図案。扱えるのは連続した一本の線——閉じたループか、手描きパッドで「閉じる」を外した開いた線です。「2026」のような文字はこの方法で描きます。
手持ちの GPX を読み込む
すでに GPX があるなら、そのまま読み込めます。自分のウォッチで記録したもの、誰かがシェアしてくれたもの、ここから書き出したものでもかまいません。コースは地図にそのまま描かれ、距離・曲がりの数・累積標高も出ます。
読み込んだログは記録そのままで表示し、道路への再フィットはしません。走った道はあなたが走った道であって、ルーターに渡せば別のコースになってしまうからです。直したいときは「ノード編集」でノードをドラッグします。そのとき触った区間だけが道路に沿って再計算されます。
- 点が多すぎる記録は自動で間引きます。 1 Hz で記録した 10 km は五千点以上あります。残すのは最大 3000 点で、間引いても全長の誤差は 3% 未満です。
- 1 つのファイルに複数のログがあるときは、いちばん長いものを使います。 複数あるのはたいてい別々のアクティビティで、つなげると走っていない区間ができてしまいます。同じログの中の一時停止による分割はつなぎ直します。それはもともと一回の走りです。
- 地点(wpt)だけのファイルはコースになりません。 それは場所の集まりで経路ではないので、順につなぐと建物を突き抜ける嘘の線になります。
読み込んだコースには元の図案がないので、似ている度は出ませんし、図案からの再フィットもできません。それ以外は同じです。GPX の書き出し、シェア画像、アカウントへの保存、公開リンクの作成はすべて使えます。
ウォッチへの取り込み
メニューの場所はアプリの更新でよく変わるので、ここではあえて大まかにしています。見つからないときは各ブランド名と「GPX ルート 取り込み」で検索するのが早いです。
- Garmin——Garmin Connect でコースとして取り込み、ウォッチへ送信するとナビゲーションが使えます。
- Coros / Suunto / Polar——各社のアプリにルート取り込み機能があり、取り込み後にウォッチへ同期します。
- Apple Watch——標準のワークアウトアプリは GPX ルートを取り込めません。ルートナビに対応したサードパーティアプリが必要です。
- スマホだけ——GPX 対応のランニング/ナビアプリでも使えます。ウォッチは必須ではありません。
走り出す前に
生成されるコースは公開地図データから作った提案であって、現地を確認したものではありません。工事中の区間、走行禁止の地下道、途切れた歩道、夜に照明のない路地までは分かりません。ナビが直進と言っても、止まるべき交差点では止まってください。
もう一点。シェアした画像にはコースの場所が写ります。自宅の玄関から始まるコースを共有する前に、一度考えてみてください。